一度拭った涙は止まらず、宝瑠は小さく肩を振るわせた。
「そもそも。俺と宝じゃ、人付き合いのスタンスが違いすぎるんだよな」
……え?
「人間関係の根底はコミュニケーションじゃなくて。ディスコミュニケーションだと俺は思うから」
宝瑠は密かに鼻をすすり、「なにが?」と聞き返した。
「宝はさ。自分の思ってることとか感じてること。相手に言えば当然わかってくれる、受け入れてもらえると思って……、話してるとこあるよな?」
「……どういう、意味……?」
「そのままの意味。別にわかんなくていいよ」
どこか投げやりな口調で続けると、彼の手が宝瑠の腕を掴んで、扉の方へ連れて行かれる。
「もう遅いし寝たら? おやすみ」
強制的に廊下に締め出され、パタンと扉を閉ざされた。
宝瑠はその場に立ち尽くし、しばし放心した。
久々津の無神経な態度に腹が立ち、やり込めてやりたい気持ちがあったのは確かだが。
こんなふうに、静かに拒絶されるとは思ってもみなかった。
リビングへ行くと、ふいにお腹が鳴った。通勤鞄の中に、入れっぱなしにしていたランチバックを思い出し、「ああ」とため息をついた。
お弁当……。美味しかったのに、ありがとうって言えてない。
空の容器をシンクに出そうとして、カウンターテーブルの料理に気がついた。
ささみときゅうりの梅和えと、にんじんしりしり、ツナマヨのおにぎりがきちんとラップにくるんで置いてあった。
晩御飯。作ってくれたんだ……。
「そもそも。俺と宝じゃ、人付き合いのスタンスが違いすぎるんだよな」
……え?
「人間関係の根底はコミュニケーションじゃなくて。ディスコミュニケーションだと俺は思うから」
宝瑠は密かに鼻をすすり、「なにが?」と聞き返した。
「宝はさ。自分の思ってることとか感じてること。相手に言えば当然わかってくれる、受け入れてもらえると思って……、話してるとこあるよな?」
「……どういう、意味……?」
「そのままの意味。別にわかんなくていいよ」
どこか投げやりな口調で続けると、彼の手が宝瑠の腕を掴んで、扉の方へ連れて行かれる。
「もう遅いし寝たら? おやすみ」
強制的に廊下に締め出され、パタンと扉を閉ざされた。
宝瑠はその場に立ち尽くし、しばし放心した。
久々津の無神経な態度に腹が立ち、やり込めてやりたい気持ちがあったのは確かだが。
こんなふうに、静かに拒絶されるとは思ってもみなかった。
リビングへ行くと、ふいにお腹が鳴った。通勤鞄の中に、入れっぱなしにしていたランチバックを思い出し、「ああ」とため息をついた。
お弁当……。美味しかったのに、ありがとうって言えてない。
空の容器をシンクに出そうとして、カウンターテーブルの料理に気がついた。
ささみときゅうりの梅和えと、にんじんしりしり、ツナマヨのおにぎりがきちんとラップにくるんで置いてあった。
晩御飯。作ってくれたんだ……。



