廊下でスマホを開くと、ディスプレイには『久々津さん』の文字が浮かんでいた。チッ、と舌打ちをつきそうになる。
「もしもし?」
『まだラインの返事ないんだけど。何時に帰ってくる?』
宝瑠は眉間にシワを寄せ、深く息を吐いた。
宝瑠のすぐそばを後輩社員たちが会釈して通り過ぎていった。その中には桃子の姿もあった。電話する宝瑠を見て、きょとんとした目で首を傾げていた。
「……ごめん。まだもうちょっとかかる」
『もうちょっとって……具体的には何時ぐらい?』
宝瑠は周囲にサッと目を配り、誰もいないことを確認した。「あと二時間ぐらい」とコソッと伝えた。
部下たちが作成した提案書のドラフトに目を通す作業や、他部署との調整メール、明日の会議資料の作成がまだ残っていた。
宝瑠が処理しなければいけないタスクなのだが、自分がいつまでもデスクに残っていては部下が帰るに帰れない。そう思い、一度デスクを離れたのだ。
『じゃあ七時半には着くな。わかった』
久々津の返事はいつも通りあっさりしていて、電話は一方的に切られた。
帰り支度を済ませた部下数名と、エレベーターに乗り合わせ、一階にあるコンビニへ立ち寄った。そこで野菜ジュースを買い、また執務スペースへ戻った。がらんとしたフロアを見て、ほっと安堵の息をつく。
「もしもし?」
『まだラインの返事ないんだけど。何時に帰ってくる?』
宝瑠は眉間にシワを寄せ、深く息を吐いた。
宝瑠のすぐそばを後輩社員たちが会釈して通り過ぎていった。その中には桃子の姿もあった。電話する宝瑠を見て、きょとんとした目で首を傾げていた。
「……ごめん。まだもうちょっとかかる」
『もうちょっとって……具体的には何時ぐらい?』
宝瑠は周囲にサッと目を配り、誰もいないことを確認した。「あと二時間ぐらい」とコソッと伝えた。
部下たちが作成した提案書のドラフトに目を通す作業や、他部署との調整メール、明日の会議資料の作成がまだ残っていた。
宝瑠が処理しなければいけないタスクなのだが、自分がいつまでもデスクに残っていては部下が帰るに帰れない。そう思い、一度デスクを離れたのだ。
『じゃあ七時半には着くな。わかった』
久々津の返事はいつも通りあっさりしていて、電話は一方的に切られた。
帰り支度を済ませた部下数名と、エレベーターに乗り合わせ、一階にあるコンビニへ立ち寄った。そこで野菜ジュースを買い、また執務スペースへ戻った。がらんとしたフロアを見て、ほっと安堵の息をつく。



