AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。

 あれから十一年が過ぎた今、宝瑠は思う。

 瑠奈も同じように、この空を見上げているだろうか。
 きっと、どこかで——だれかと同じ時間(とき)を過ごしているかもしれない。

 信号が青に変わり、交差点を渡り切ると、宝瑠は会社のエントランスをくぐった。

 *

「四ノ宮、四ノ宮っ!」

 始業時間前にメールチェックや打ち合わせの確認など、ひと通りの業務を終えて、カフェスペースでコーヒーを入れていた。すると、同じようにコーヒーサーバーに近づいてきた小野寺が、やや興奮した様子で宝瑠に声をかけた。

「おはよう、小野寺くん」

 おはよ、と挨拶もそこそこに、小野寺はまくし立てるように言った。

「前に言ってたAkiへの依頼、通ったよ!」
「……え」
「ほら、山王食品の案件! 最終交渉も断られたけど、昨日いきなり本人から電話がかかってきて“やっぱりやってもいい”って」
「へ、……えーっ、そうなんだ?」

 宝瑠としてはすでに知っていた受諾だが、今初めて聞いて驚きましたという顔をした。宝瑠のわざとらしい反応には触れず、小野寺は嬉しそうに頬を緩ませ、うんうんと頷いた。

「いやもう、奇跡としか言いようがないよ、実は俺もさ、連休明けに再度粘ってみようって思ってたから、まさに棚ぼたとしか言いようがなくて」