父親の顔をする久々津を見ていると、ふいに視線がぶつかった。
「朝飯食べたら? もう七時になるけど」
「あ、うん。ありがとう……お先にいただきます」
宝瑠は手を合わせて、並べられた皿に手をつけた。
「ねぇ、パパー」
洗面所から日葵の声がする。「どうした?」と久々津が応じた。
「ここ、いい匂いがするー」
「……うん? どれ?」
彼も洗面所へ行き、「あー……ほんとだ」と呟く。「多分ママだろ」。
……え。
なんだろう。香水はつけてないから、化粧品とか……ヘアオイルの匂い、だろうな。きっと。
顔を洗った日葵が、髪をポニーテールにして戻ってきた。久々津に結んでもらったのだろうか。ピンク色のリボンが付いた髪ゴムでまとまっている。髪が細く頼りないせいか、ところどころ後れ毛が出ている。
朝食を食べ終えた宝瑠に日葵が抱きついた。
「ママ、いい匂いするー」と言って甘える少女にじんわりと胸が熱くなった。
七時半になり、玄関に並べたパンプスに足を入れた。
「ママっ、行ってらっしゃい!」
後ろから聞こえる日葵の声に続いて、久々津が呟く。「まさに戦闘服って感じだな」と。
「……行ってきます」
そんな挨拶をして家を出るのも何年ぶりだろう。心のどこかにくすぐったさを覚えながら、宝瑠はそっと扉を閉めた。
「朝飯食べたら? もう七時になるけど」
「あ、うん。ありがとう……お先にいただきます」
宝瑠は手を合わせて、並べられた皿に手をつけた。
「ねぇ、パパー」
洗面所から日葵の声がする。「どうした?」と久々津が応じた。
「ここ、いい匂いがするー」
「……うん? どれ?」
彼も洗面所へ行き、「あー……ほんとだ」と呟く。「多分ママだろ」。
……え。
なんだろう。香水はつけてないから、化粧品とか……ヘアオイルの匂い、だろうな。きっと。
顔を洗った日葵が、髪をポニーテールにして戻ってきた。久々津に結んでもらったのだろうか。ピンク色のリボンが付いた髪ゴムでまとまっている。髪が細く頼りないせいか、ところどころ後れ毛が出ている。
朝食を食べ終えた宝瑠に日葵が抱きついた。
「ママ、いい匂いするー」と言って甘える少女にじんわりと胸が熱くなった。
七時半になり、玄関に並べたパンプスに足を入れた。
「ママっ、行ってらっしゃい!」
後ろから聞こえる日葵の声に続いて、久々津が呟く。「まさに戦闘服って感じだな」と。
「……行ってきます」
そんな挨拶をして家を出るのも何年ぶりだろう。心のどこかにくすぐったさを覚えながら、宝瑠はそっと扉を閉めた。



