引きこもりですが、守ることだけは最強です!

藍音(あいね)、水筒とって!」

「は〜い、お姉ちゃん!」


私はお姉ちゃんのところに、水筒を飛ばす。

お姉ちゃんは慣れたように水筒をキャッチすると、お礼を言う。


「ありがとっ! 行ってくる!」

「行ってらしゃ〜い!」


玄関から出ていくお姉ちゃんを見送って、ほっと一息つく。

私は紫崎(しざき)藍音(あいね)

結界を張って、その中ならなんでもできるという能力を持っている。

能力っていうのは、生まれた時から持っている不思議な力。

お母さんもお父さんも、お姉ちゃんもお兄ちゃんも持っている。

結界を張る能力じゃないけどね。

私はお皿洗いを終えて、テレビを見る。


『今日は気持ちの良い晴れで……』


……もうすぐ八時か。

手を拭いて、テレビを消す。

家族のみんなは、もう外に出ている。

私は引きこもりなので、外には出ない。

能力も外に出ない方が便利だし、あまり外は好きじゃない。

家族のみんなもそれを許してくれている。

でもちょっと申し訳ないから、家事とかは私がやっている。