さすがに帰らないとまずいと思った拓二さんは、後ろ髪をひかれる気持ちで田んぼから道路へと飛び出した。
そのときだった。
5時の時報が終わって静まり返った周囲からセミの声が消えた。
夕飯時の喧噪も、野良猫の声も聞こえてこない。
耳がキーンとなるほどの静寂に突如投げ出された拓二さんは恐怖でその場に立ち尽くしてしまった。
全身からすーと血の気が引いた後、キーンコーンカーンコーン。
ひび割れたチャイムの音が静寂を切り裂いた。
咄嗟に周囲を見まわし自分の両耳を塞いだけれど、そのチャイム音は容赦なく鼓膜を揺るがす。
キーンコーンカーンコーン。
なるはずのないチャイム。
幻のチャイム。
そのときだった。
5時の時報が終わって静まり返った周囲からセミの声が消えた。
夕飯時の喧噪も、野良猫の声も聞こえてこない。
耳がキーンとなるほどの静寂に突如投げ出された拓二さんは恐怖でその場に立ち尽くしてしまった。
全身からすーと血の気が引いた後、キーンコーンカーンコーン。
ひび割れたチャイムの音が静寂を切り裂いた。
咄嗟に周囲を見まわし自分の両耳を塞いだけれど、そのチャイム音は容赦なく鼓膜を揺るがす。
キーンコーンカーンコーン。
なるはずのないチャイム。
幻のチャイム。



