夏休みの自由課題について

拓二さんはそれを単純に子供たちと5時までに必ず帰宅させるための嘘だと思っていた。
『一! こっちに蝶がいるぞ!』
田んぼのあぜ道を駆け回っているとモンシロチョウやトンボに出会えた。
田んぼの中を覗き込んでみるとオタマジャクシや骨エビもいる。
子供にとっては格好の遊び場だった。
田んぼから少し離れた用水路には小魚やザリガニがいるし、森の近くまで行けばクワガタやカブトムシ、セミもいる。
拓二さんと一さんは飽きもせずに毎日それらを取るために走りまわっていた。
『拓二、そろそろ帰ろう。5時になる』
一さんにそう言われたとき、拓二さんはまだ夢中でちょうちょを追いかけていた。