夏休みの自由課題について

毎日玄関先で繰り返される母親の言葉に拓二さんはいい加減うんざりして答えました。
けれど母親は目を釣り上げて『幻のチャイムが聞こえるのは午後5時だよ。だから、それまでには絶対に家にいること』と、念を押してくる。
幻のチャイムとは、午後5時になる時報とは違い、時報が鳴った後に聞こえてくる不気味なチャイムのことだと拓二さんは招致していた。
そのチャイムは普通の人には聞こえない。
もしもチャイムが聞こえてしまったら、その人は行方不明になってしまい二度と戻ってこない。
だから午後5時になる前に家にいて、幻のチャイムを聞かなくていいようにと各家庭で言われているのだ。