夏休みの自由課題について

これではあの女を屋敷から追い出すことができない。
歯噛みしていた夫人のことを見ていたひとりの女使用人がそっと耳打ちをした。

『マスコちゃんは鏡をとても大切にしています。それに自分の容姿にもとても自身があるみたいですね。私がそこ鏡をこっそり取ってきましょう』

その悪知恵に夫人はのっかった。
大切な鏡を隠されて少しは大人しくなればいい。
それくらいの気持ちで夫人は鏡を隠したのだ。

『鏡がない！　あの鏡はどこ！？』
慌てふためくマスコちゃんを見て、夫人と使用人はほくそ笑んだ。

涙目になって鏡を探し回るマスコちゃんの哀れな姿を見て溜飲を下げた夫人は、翌朝にはマスコちゃんに鏡を返すつもりだった。