通常よりも少し大きなサイズのそれを、マスコちゃんは毎日のように取り出し眺めていた。
『その鏡とても素敵ね。少し貸してくれない?』
毎日丁寧に磨かれた手鏡を見て仲のいい使用人がそう声をかけたこともあるけれど、マスコちゃんは決してそれを人に貸そうとはしなかった。
おそらく、誰かの形見ではないかと、なんとなく暗黙の了解となっていた。
『マスコちゃんは今日も綺麗ね』
『本当だわ。使用人にしておくのはもったいないわね』
そんな噂をよく思わない人もいた。
屋敷の夫人だ。
すでに40歳を過ぎた夫人はだんだんと衰えていく自分の容姿を見るのが恐ろしかった。
『その鏡とても素敵ね。少し貸してくれない?』
毎日丁寧に磨かれた手鏡を見て仲のいい使用人がそう声をかけたこともあるけれど、マスコちゃんは決してそれを人に貸そうとはしなかった。
おそらく、誰かの形見ではないかと、なんとなく暗黙の了解となっていた。
『マスコちゃんは今日も綺麗ね』
『本当だわ。使用人にしておくのはもったいないわね』
そんな噂をよく思わない人もいた。
屋敷の夫人だ。
すでに40歳を過ぎた夫人はだんだんと衰えていく自分の容姿を見るのが恐ろしかった。



