夏休みの自由課題について

更にはどうやら訳アリの女性だったようで、出身がどこかのか家族はどこにあるのかという質問に関しては、マスコちゃんは笑顔で黙り込み返事をしなかったという。

そんなだから屋敷の中ではマスコちゃんに関する噂話が絶えなかった。
犯罪者の娘とか、捨て子だとか、はたまたその美しい容姿からどこから貴族の娘が逃げ出してきたとまで。

そんな噂がつきまとっていたマスコちゃんだが、働きっぷりは悪くなく、いつも笑顔で人当たりのよい人物だったため使用人として上手くなじめていた。

そんなマスコちゃんが一番大切にしていたのが、丸い手鏡だった。
使用人としてやってきたときの荷物はその手鏡ひとつだったと言う人もいる。