「吉春さん、どんな話を聞いたのか、教えてくれますか?」

「もちろん。そのために来てもらったんだよ。ワシが聞いた話は都市伝説なんかじゃあない。本当にあった話だ……」

☆☆☆

昭和初期の●●村には大きな屋敷があって、そこで何人かが使用人として働いていたらしい。

たいていの人間が●●村にゆかりがあったり、隣町の人間だったりしたけれど、その中でもひとりだけ異質な女性がいたそうだ。

『マスコちゃんは今日も綺麗ね』

他の使用人たちに毎日のように容姿をほめそやされていたその使用人はマスコちゃんと呼ばれていて、苗字については誰も知らなかった。