市立図書館の窓辺の席にはいつも通り岡田さんの姿がありました。
今日も熱心に学校の七不思議関連の本を読んでいるみたいです。
その後姿を見つけたときすぐに声をかけようと思いましたが、あまりにも集中して読書しているようなので、声をかけるのもためらうくらいでした。
しばらく様子を見ていると調べものがひと段落ついたのか、岡田さんが大きく息を吐き出した肩の力を抜きました。
「こんにちは」
そのタイミングで声をかけると、岡田さんが目を丸くした振り向きました。
「あ、平野さん」
そう言って壁にかかっている時計へ視線を向けると「もうこんな時間か」と、つぶやきました。
「岡田さん、何時からここにいるの?」
質問しながら隣の席に座ると「朝、図書館が空いてからすぐかな」



