夏休みの自由課題について

細い竹の枝に糸を垂らしただけの釣り竿だったけれど、先端に虫をくくりつければ川魚がよく食いついた。

釣った魚は帰る前に川に戻してやるのだけれど、僕とこうちゃんは競って魚を釣った。

『今日は大漁だ!』

こうちゃんの足元には早くも三匹の小魚がいて、まだまだ釣り上げそうな予感がした。
けれど僕の竿のほうには少しも食いついてこない。

全然釣れない釣りほどつまらないものはない。
こうちゃんと隣り合って釣りをしているから釣れないんだ。

そう考えた僕は靴を脱いで川の中に足をつけた。
ひやりと冷たい水が足首に絡みついて流れていく。
その感触はとても心地よかった。

『あ、川に入っちゃいけないんだぞ』