「うん。一応ね」
そう答えて自由課題のノートを見せました。

岡田さんは興味津々な様子でそこに書かれたふたつの怪異を読んでいます。
ひとつめはふみちゃんから聞いた床を踏み鳴らす音。

ふたつめは生枝さんから聞いた老婆が徘徊する話です。
「このふたつの話は別々の人から聞いたんだよね?」
「そうだよ」

「しかも近所って言ってたっけ?」
その質問に私はうなづきました。
ふみちゃんの家も生枝さんの家も、徒歩15分以内の場所にあります。

すると岡田さんが目を大きく見開いて輝かせました。
「近い場所で全く別の怖い話があるなんて不思議だね?」
「そう……かな?」