家で怖いことが起こったことはさすがに言えていません。
信じてもらえるかどうかもわからないし、生枝さんから聞いた徘徊する老婆の話とリンクしている気がしてならなかったからです。

「大丈夫だよ。なにかあったら連絡するから安心して」

そう言うと両親はようやく出かけていきました。
今は親戚の人と集まって祖母の遺品整理を行っているみたいです。

祖母は長年大きな家に一人暮らしだったので物が溢れてなかなか片付かないと毎日のように愚痴っています。

それから私はノートとペンをトートバッグに入れて真っ白な自転車にまたがり、市立図書館へ向かいました。