なんのことだろうと返事をしようとしたとき、突然横から手が伸びてきてピシャリと窓が閉められた。
ワタシの横には旦那が立っていて、真っ青な顔で窓を閉めてたんだ。

『どうしたの?』

そう聞くと旦那はブルブルと左右に首をふるだけだった。
夏でもないのに汗が流れていてね、ただごとじゃないと思ったよ。

『あのおばあさん、大丈夫かしら?』

ワタシがそう言って窓の外に視線を戻したときにはもう、あの老婆は姿を消していたんだよ。

そんなことがあった次の日に聞いた話だけど、この辺じゃ真夜中に1人で歩く老婆の姿がよく目撃されてたらしい。