『学校の怪談』というタイトルの本を選んで私の前に座った田中さんが口元に手を当てておかしそうに笑いました。

「でも、そういう話を集めることにしたんだよね? それならちょうどよかったじゃん」
「それはそうだけどさぁ」

もっと地域に根ざした不思議な話が聞けると思っていたのに、ふみちゃんが教えてくれた床を踏み鳴らす音の話は完全なホラーで、家にひとりでいるとどうしても思い出して怖くなってしまいました。

「それで? 次は誰に話を聞きに行く予定なの?」
そう聞かれて私は天井を見上げました。

この村にまつわる七不思議を集めることにしたので、ここで引き下がるわけにはもちろんいきません。