使用人たちが置きだして廊下に置かれた長持ちを見たとき、昨晩娘を床下に閉じ込めたことを思い出した。

『昨日はずいぶん遅くまで音が聞こえてきていたけれど、すっかりあきらめたみたいだね』

床下からの音はもう止まっていて、声も聞こえてきません。
ひとりですすり泣いているのかもしれないと思うと、またおかしくなって笑い声が溢れた。

『朝になったし、そろそろ出してやろうか』
使用人がふたりがかりで長持ちを横にずらして床下を開いたとの瞬間、血走った目がこちらを睨みつけていた。

大きく見開かれた目、苦痛にゆがんだ顔。
両手は握りこまれたままつぶれて真っ赤に染まり、床板に張り付いている。