その廃墟は山小屋くらい小さくて、まわりをグルッと歩いてみると正方形であることがわかった。

木造建築で、壁のあちこちが剥がれ落ちて中の様子が見えるようになっている。

木の隙間から小屋の中を覗いてみると案外しっかりとした家になっているようで、小さなキッチンと、使い捨てられたテーブルや椅子が見えた。

それを見た一さんはこの小屋を隠れ家にすれば学校をさぼって昼寝ができるぞ、と考えた。
『よいしょっと』

古い玄関の引き戸に手をかけてみても建物がゆがんでいるようで開かない。

一さんは仕方なく壁の一部の板を外してそこから中へと侵入した。
小屋の中は黴臭かったがひやりと涼しくて心地よかった。