「本当に死んでしまうかもしれない。それくらい恐ろしい経験だったよ。あれは私が中学2年生のころだった……」

☆☆☆

●●村には今でも小学校と中学校があり、高校からは近くても電車通学になる。

そして大学や就職となるとこの村から離れていく人が多くなる。
一さんは中学3年生のころからそれを強く意識し始めたそうだ。

あと少しでこの村からも遠ざかることになる。
それは自分が大人になった気分にもなれたし、少しさみしさを感じることでもあった。

『あーあ、受験とかめんどくせぇ』

当時あまり真面目ではなかった一さんはしばしば中学校をさぼって人気のないところで時間を潰していたらしい。