それまでずっと寡黙に拓二さんの話を聞いていた一さんがようやく顔をあげました。

「この村には本当に沢山の不思議な出来事があってな。私は拓二とはまた違う恐怖を体験しているんだ」

拓二さんよりも低く、心地のいい声。
「どんな体験ですか?」

拓二さんから聞いた体験談の恐怖が冷めやらぬ中、私は一さんに視線を移しました。