「まあ、いいんじゃないか別に。こうなるだろうなとは思っていたし」

 翌日、ゼインとエリシアは若き国王の目の前にいた。エリシアが前日に国王へゼインの専属護衛騎士の任を解くように願い出たことを撤回するためだ。若き国王は金色の髪の毛をサラリと揺らし、アクアマリン色の瞳を二人へ向ける。そんな国王に、エリシアはおずおずと控えめに尋ねた。

「あの、こうなるだろうなと思っていた、とは?」

「エリシア一筋のゼインが納得するはずないだろ。それにどう考えたって両想いの二人なんだからな。それをわからない老害貴族たちには困ったもんだよ」

 やれやれとため息をついて若き国王は椅子の手すりに肘をかけ、足を組む。

「だが、これで鈍感なエリシアもゼインの重すぎる気持ちに気付いただろう。晴れてハッピーエンドだ。二人はいずれ結婚するといい。別に聖女と騎士が結婚できないしきたりなんてどこにもないだろう。あるなら俺がそれを覆してやる」

 国王の言葉にゼインは目を輝かせ、エリシアは驚きつつも頬を赤らめる。

「俺がまだ若いせいであの老害貴族たちは好き放題しているが、もう少しだけ待っててくれ。あいつらを黙らせるだけの力と技量を手に入れてみせる。だから、ゼインは何があっても聖女エリシアを守れ。物理的な攻撃だけじゃなく、精神的な攻撃からも、全てだ」

「はっ!」