*
夜になり、寝る支度を済ませたエリシアはベッドの中で昼間のことを思い出していた。
(ゼインはこれからも護衛騎士としてそばにいると言ってくれたけれど、でも、きっとそれはゼインのためにならない。私は、それでいいの?)
聖女になってすぐ、専属の護衛騎士となったゼインが挨拶に来た日のことを今でも覚えている。三つ年上の、強い意思をもった瞳にサラサラの艶やかな黒髪、細身そうなのに騎士として鍛え抜かれた体をもつその騎士は、エリシアの前に跪き、この身を一生捧げますと言ってくれた。そうは言っても、護衛騎士もある程度の年数で交代するのだろうとばかり思っていたけれど、ゼインはずっとエリシアの護衛騎士のままだった。
ゼインはエリシアにいつも寄り添い、任務の最中にはどんな危険からも命をはって守ってくれていた。自分は、そんなゼインに甘えすぎていたのではないか?ゼインにはゼインの人生がある。たとえゼインが護衛騎士という仕事に誇りを持っていたとしても、ゼインの人生をそれだけで終わらせてほしいとは思わない。
何よりも、ゼインのことを心から大事に思い、幸せになってほしいと思っているからこそだ。
(私じゃゼインを幸せになんてできないもの。このままじゃ、ゼインを縛り付けてしまっているようなものだわ。ゼインには、ふさわしい素敵なご令嬢と一緒になって幸せに暮らしてほしい)
そう思いながらも、胸がずきりと痛む。それでも、その痛みには気づかないふりをしてエリシアは両目を静かに瞑った。
夜になり、寝る支度を済ませたエリシアはベッドの中で昼間のことを思い出していた。
(ゼインはこれからも護衛騎士としてそばにいると言ってくれたけれど、でも、きっとそれはゼインのためにならない。私は、それでいいの?)
聖女になってすぐ、専属の護衛騎士となったゼインが挨拶に来た日のことを今でも覚えている。三つ年上の、強い意思をもった瞳にサラサラの艶やかな黒髪、細身そうなのに騎士として鍛え抜かれた体をもつその騎士は、エリシアの前に跪き、この身を一生捧げますと言ってくれた。そうは言っても、護衛騎士もある程度の年数で交代するのだろうとばかり思っていたけれど、ゼインはずっとエリシアの護衛騎士のままだった。
ゼインはエリシアにいつも寄り添い、任務の最中にはどんな危険からも命をはって守ってくれていた。自分は、そんなゼインに甘えすぎていたのではないか?ゼインにはゼインの人生がある。たとえゼインが護衛騎士という仕事に誇りを持っていたとしても、ゼインの人生をそれだけで終わらせてほしいとは思わない。
何よりも、ゼインのことを心から大事に思い、幸せになってほしいと思っているからこそだ。
(私じゃゼインを幸せになんてできないもの。このままじゃ、ゼインを縛り付けてしまっているようなものだわ。ゼインには、ふさわしい素敵なご令嬢と一緒になって幸せに暮らしてほしい)
そう思いながらも、胸がずきりと痛む。それでも、その痛みには気づかないふりをしてエリシアは両目を静かに瞑った。



