推しに告白(嘘)されまして。






「ここの星空綺麗だよね」



ふと、星空を見上げて、柚子が柔らかくそう呟く。
その呟きに対して、俺は星空ではなく、つい柚子に視線を向けた。

キラキラと輝く星空をその愛らしい瞳に映し、本当に楽しそうに笑っている柚子があまりにも可愛くて、綺麗で、胸の奥底からじんわりと暖かくなる。

好き。

そう唐突に思う。
だが、その幸せな温もりと共に、胸に鈍い痛みが走った。

こんなにも大好きな人を俺は俺のわがままで縛っているのだ。

無言のまま何も言えなくなった俺に、柚子が視線を戻す。
それからまたあの苦しそうな表情を一瞬だけ浮かべ、俺から目を逸らした。

また、だ。

柚子はまた俺を苦しめている、と自分を責めているのだろう。



「ごめん、私のせいだよね」



柚子から弱々しい声が漏れる。



「私がこんなだから…」



そして消え入りそうな声でそう言うと、柚子は辛そうに眉間に力を込めた。

違う。違うんだよ。
柚子は苦しまなくていいんだよ。
俺が選んだことなのだから。

今すぐにそう伝えたいはずなのに、喉が熱くなってうまく言葉が出ない。
そんな俺に柚子は泣きそうな声で続けた。