かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

今は左手がだいぶ使えるようになったので、ピックやフォークを使って一口サイズの差し入れなら自分で食べられる。
スマホやタブレットの操作もできるようになった。
看護師さんやノーマンの手を借りながら、片手でできることを少しずつ増やしているという。

「こうしていつも誰かが様子を見にきてくれるし、ティトの世話やノーマンの仕事にも気を配ってくれる。友情の大波が押し寄せてきて、落ち込んでいる暇なんてないくらい」

それでも直後は自分を恥じたという。
エクササイズトレーナーを職業にしているのに、バランスを崩して階段から落ちてしまったことに。

「でもノーマンやみんなの支えのおかげで、これは自分が乗り越えるべき試練だと思えるようになったのよ」

飾らず自分の胸のうちを表現できる彼女は、やはりとても素敵な尊敬すべき友人で、シンプルに彼女のために力になりたいと思える。

病室やティトの散歩のために訪れたアパートで、夫のノーマンとも顔を合わせるようになった。
理知的な顔立ちにいつも穏やかな口調のノーマンは、元気いっぱいなティトの存在に精神的に救われているようだった。