かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

「えっと、透さんカッコよかったし」

「そう言ってほしくて男って頑張ってるようなものなんだ」
少し笑って「四ヶ月経ったか」とつぶやいた。

ニューヨークに来てそれだけ過ぎたのだ。
「あっという間だったね、ほんとに」

「寂しい思いをさせたな。いきなり言葉も生活習慣も違う国に連れてきて」

「全然だよ、むしろニューヨークに来てよかったと思ってるくらい」

「よかった?」
わたしの反応が意外だったのか、怪訝な表情を浮かべる。

「うん。慣れることに忙しくて。逆に寂しさを感じる余裕もないくらい。透さんがトモミ先生を紹介してくれたから、知り合いも増えてきたし。日本にいたら “久我家の嫁” がプレッシャーだったと思うけど、透さんが言ったようにここではただのサホ・クガという一人の女性でいられるんだなって」
日本でもアメリカでも大変なことはついてまわる。どう受け止めてどう乗り越えるのが大事だと思う。なんて、最後はできてもいないことまで言ってしまった。