かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜



櫂さんと別れて自宅に戻ると、透さんはかるくシャワーを浴びた。
風呂上がりの透さんには、いつもながらドキッとしてしまう。一緒に暮らしてだいぶ経つというのに、濡れて艶と重みを増した黒髪がひたいにかかっているのを見るたび。そのすき間から切れ長の瞳がわたしを見つめるとき。
わたしの胸は跳ねてしまう。

「お疲れ様でした。お茶でも飲む?」

「お茶よりスパークリングウォーターがいいな」

「そうだね、汗かいたもんね」

大ぶりのグラスに氷を入れて注いで渡すと、その場でごくごくと喉を鳴らして飲み干した。
二杯目を注ぐと、グラスを手にソファに腰を下ろす。

わたしも同じものが飲みたくなったので、グラスに半分ほど入れて彼の向かいに腰かけた。
泡がシュワシュワと弾けるのを聞きながら、ちびちびと口にする。

ふう、と透さんが息をつく。
「一汗流したし、落とし前はつけたし、スッキリしたな」

「いい試合だったね、二人とも清々しくて」

それだけ? と透さんがそれが癖の片眉を上げる仕草をする。