櫂さんが腕を振りきれず、それでもボールをパドルの中央に当てて返す。甘い球を見逃さず、透さんが振り抜いた。
櫂さんが伸ばしたパドルのその先を抜ける。
ボールはコートの深くラインのぎりぎりを———
三人とも黙って止まってしまった。
「どっちだ?」
やああって透さんがつぶやく。
「インかアウトか」
正直分からない。土のコートならボールの跡が残るかもしれないけれど、ブルーのコートに白いラインが引かれたハードコートだ。
オレンジ色のボールはよく映えるが、なんの痕跡も残らない。
プロの試合ならビデオ判定になりそうだが、ここはただの市民の憩いの場だ。
「…インだ」
ラインを見つめながら、ぼそっと櫂さんがつぶやいた。
「本当か?」
「ボールを追って横から見てたから確かだ」
櫂さんが顔を上げる。
「You won」
ケジメとして得点ボードをめくった。
13-11。透さんの、わたしの夫の勝利だ。
櫂さんが伸ばしたパドルのその先を抜ける。
ボールはコートの深くラインのぎりぎりを———
三人とも黙って止まってしまった。
「どっちだ?」
やああって透さんがつぶやく。
「インかアウトか」
正直分からない。土のコートならボールの跡が残るかもしれないけれど、ブルーのコートに白いラインが引かれたハードコートだ。
オレンジ色のボールはよく映えるが、なんの痕跡も残らない。
プロの試合ならビデオ判定になりそうだが、ここはただの市民の憩いの場だ。
「…インだ」
ラインを見つめながら、ぼそっと櫂さんがつぶやいた。
「本当か?」
「ボールを追って横から見てたから確かだ」
櫂さんが顔を上げる。
「You won」
ケジメとして得点ボードをめくった。
13-11。透さんの、わたしの夫の勝利だ。


![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)
![he said , she said[1話のみ]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1740766-thumb.jpg?t=20250404023546)