かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

「だからその前に———夕飯にしよう」

あ、そうだった。

腹が減っては戦はできぬだ、透さんはそう言って表情をゆるめた。

黒酢酢豚は我ながらなかなかの出来栄えだった。話をしている間に、下味がいい具合になじんだのかもしれない。
夕食をお腹におさめた後、透さんはおもむろにスマホで櫂さんに電話をかけた。

キッチンで洗い物をしていたわたしの耳には、透さんの毅然とした声だけが聞こえてきた。

「…兄として、お前に決闘を申し込む」

け、決闘!?