かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

「すごいですね、あのコンシェルジュ、普段はむっつりした感じなんですよ」

そうなの? とこちらを見下ろしてくる。
透さんに面差しの似た、つまりはハンサムな青年だった。並んでみると背格好も同じくらいだと分かる。さすが兄弟だ。

だけれど受ける印象は、はっきりと違った。
透さんの瞳が切れ長なのに対して、彼のそれは二重がくっきりと深く目尻は下がりぎみだ。
魅力的なカーブを描いてツンと上を向いている唇とも相まって、なんとも甘いマスクをしている。

とはいえわたしには、彼の容姿うんぬんより日本語で会話ができることのほうがはるかに重要だった。

「ランチどうしましょう? 何か食べたいものってありますか?」
店を予約しましょうかと事前に聞いたところ、必要ないとの回答だった。ランチなので気軽にということで、わたしはほぼノープランだ。
「といってもわたしもそんなにお店を知ってるわけじゃないんですけど」
見栄を張らずに打ち明ける。

「まあお一人だとそうなりますよね」
さらりと返ってきた。
話が早い。一を聞いて十を知るという感じだ。