折り入って話したいことって、いったい何だろう?
わたしは落ち着かないまま翌日の業務をこなし、17:20に席を立った。
普段は足を踏み入れることのない、上層部の執務室が入っているフロアでエレベーターを降りる。
常務室のドアの前で、息を整える。腕時計をチェックして、秒針が17:30まで1分を切ったところで、ドアをノックした。
新入社員研修で習った、品のいいノックのやり方を思い出しながら、軽やかに三回。
どうぞ、という声にドアを開け「失礼します」と入室する。
広すぎず狭すぎず、ほどよい大きさの部屋だった。
一面にとられた窓を背に執務机がすえられ、そこに腰をあずける格好で、一人の男性がこちらに視線を向けている。
常務、久我透その人だ。
彼一人、ということは個別面談だ。
いや複数人で待っていられても、恐怖しかないけれど…
間近で対面するのは初めてかもしれない。それにしても背が高くて、足が長いこと。
わたしは落ち着かないまま翌日の業務をこなし、17:20に席を立った。
普段は足を踏み入れることのない、上層部の執務室が入っているフロアでエレベーターを降りる。
常務室のドアの前で、息を整える。腕時計をチェックして、秒針が17:30まで1分を切ったところで、ドアをノックした。
新入社員研修で習った、品のいいノックのやり方を思い出しながら、軽やかに三回。
どうぞ、という声にドアを開け「失礼します」と入室する。
広すぎず狭すぎず、ほどよい大きさの部屋だった。
一面にとられた窓を背に執務机がすえられ、そこに腰をあずける格好で、一人の男性がこちらに視線を向けている。
常務、久我透その人だ。
彼一人、ということは個別面談だ。
いや複数人で待っていられても、恐怖しかないけれど…
間近で対面するのは初めてかもしれない。それにしても背が高くて、足が長いこと。


![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)
![he said , she said[1話のみ]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1740766-thumb.jpg?t=20250404023546)