かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

ニューヨークのアッパー・イースト・サイドという地区にあるアパートに居を構えて、二ヶ月になろうとしている。
この短い期間で痛感したのは、ニューヨーカーの生活はとにかくテンポが速く忙しいということだった。
そして透さんはその中でも、超がつくほど多忙な層に属しているのだ。

ニューヨークのビジネスパーソンの朝は早い。
専門職・管理職クラスなら、朝の八時にはオフィスに出ているのが普通だそうだ。ときには朝からパワーブレックファーストという朝食をとりながらの会合もある。
日本ほど残業をする習慣はないそうだけど、国内で時差があるので、東海岸のニューヨークが夕方の五時でも西海岸はまだ午後二時だ。
西海岸とやり取りをしていると夜の八時になり、つまり朝八時から夜八時まで十二時間がビジネスアワーということになる。
その後ディナーの約束が入っていることも多い。

透さんは、久我ホールディングスのアメリカ法人でマネージャーとして部を統括しながら、MBAを取得するためにビジネススクールのコースも取っている。

週末も勉強や、国内外から訪ねてくる友人知人のアポイントが入り…ようするに一分一秒が惜しいスケジュールをこなしているのだ。