かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

「トオルはどうなの最近?」

「相変わらず、朝から晩まで忙しくしてます」

「新婚でサホみたいなチャーミングな女性を放ったらかしなんてね」
と冗談まじりに言って、うちの夫も似たようなものだけど、と付け加える。
トモミ先生の夫のノーマンは映像作家だ。スタジオにこもって帰宅しない日もあるという。
夫婦にまだ子どもはおらず、愛犬のティトとグリニッチ・ビレッジで暮らしている。

「まだニューヨークに来て、二ヶ月経ってないでしょう。生活のベースができるまでは特に忙しいんじゃないかしら」

「確かに、なにかとバタバタしちゃって。スーパーマーケットは、クリーニング屋は、美容院は…って探すところから始めて。
ハウスワイフのわたしでも落ち着かないのに、仕事をしてる夫はもっと大変です」

「お互いに理解と思いやりがあればだいじょうぶ。トオルはサホをサポートしてくれるでしょう」

実際トモミ先生を紹介してくれたのも、透さんなのだ。
同僚からすごくいいヨガのインストラクターがいる、日本語も堪能、と聞いてわたしに勧めてくれた。