かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

塗りのお重の蓋を開けると、集まった人たちから歓声があがった。

漆のように艶やかに煮含められた黒豆には金箔が散らされている。
「ホンモノのgold?」と目を丸くして聞かれたので、「もちろん」となぜか得意になって答えてしまった。

細かく包丁を入れられた金柑の細工に目を見張り、手鞠麩の可愛さに「食べるのがもったいない」としげしげと見つめている。
アジアにルーツを持たない人でも、みんな器用に箸を使っておせちを楽しんでいた。
ちなみに末梢神経を刺激するのはリハビリにもなるので、トモミ先生も積極的に箸を使うようにしているという。

先生はトレーニングが制限される分、じっくり解剖学を学び直していると語った。
自分の体験をもとにリハビリテーションのメソッドも取り入れていくつもりだと。バージョンアップする先生のレッスンが、今からとても楽しみだ。

透さんもトモミ先生とノーマンとゆっくり話すことができ、また新しい知り合いもできて、休暇中ということもありゆったりした雰囲気の集まりになった。

後日何人かから『いいパーティーだった。ありがとう』とお礼のメッセージをもらった。