かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

女性ものはよく分からなくて…と彼にしては珍しく自信無さげなのだ。
高機能性で知られるアウトドアメーカーのロゴだ。
開けてみると、スノーブーツだった。しっかりした造りながらスエード素材でしゃれたデザインだ。

「ニューヨークは雪がしっかり降るから。足を滑らせないようにと思って。トモミさんのこともあって…」

日本では必要なかったので、そういえばスノーブーツを持っていなかった。
「ありがとう。これで雪の日も安心して出かけられる」
透さんがわたしのことを考えて、わたしの身を気遣って贈り物を選んでくれたことが何より嬉しかった。

そういえば、と思い出したように彼が口を開く。
「お袋が正月におせちを送ってくれるって」

「おせち? 日本から?」
きょとんとしてしまう。

「じゃなくて、マンハッタンの日本料理店から」

久我家が長年付き合いのある料亭の板前が、マンハッタンの日本料理店に請われて移ってきたのだという。

「うちは夫婦二人だし、そんな三段重のおせちなんて食べきれないって言ったんだけどさ。お店との付き合いも大事だからとか、おせちは日持ちするからとかなんとか…」

「そういうことならありがたくいただきましょう」
と言いつつ、ふと思いついた。