かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜

それでもギブスを濡らさないように右腕をビニール袋で覆っての不自由な入浴から解放された。すみずみまで右腕を洗うことができるだけで信じられないくらい快適だと語る。
少しずつ自宅でヨガも再開しているという。
「腕に力を入れるポーズはまだ無理だけど、下半身を中心にね」

先生が確実に回復に向かっていることが、みんなの喜びであり希望だった。

とはいえ、わたしの日常が人のケアに埋め尽くされているというわけではなく、透さんと過ごす時間も増えている。
二人で美術館に出かけたり、ミュージカルを観にいったり、レストランに行ったり、ドライブを楽しんだりすることができるようになったのだ。
ニューヨークに来たばかりの頃、一日中一人で過ごしていたことを思うと、まるで別の人生のように忙しくてもちろん充実している。

出会いがあれば別れも、というべきか。
ギブスが外れた頃、名残惜しそうに櫂さんはイギリスへ帰っていった。

サポートチームのアカウントから抜けることはせず、リモートでできることは続けるという。