雨宿り喫茶で初恋を


(降りそうだな)

私はないと思いつつも鞄の中を漁るが、やっぱり折り畳み傘は入っていない。

「あ……」

空を見上げれば、案の定、ぽつりぽつりと降り出してきた雨に私はたまたま目についた、古びた商店街のアーケード下へ移動した。

古い商店街であることと、時間的に店のほとんどにシャッターが下りている。

(暫くここで雨宿りか……)

雨足はあっという間に強まる。駅までは五分ほどだが、傘無しでは駅に着く頃にはシャワーを浴びたようになってしまうだろう。


「はぁ……いつ止むんだろ」

スマホで雨雲レーダーを検索してみれば、ちょうどこの辺りの雨雲は一時間ほどで移動するようだ。

(一時間なら待てるかな……)


──そう思った時だった。後ろから声が聞こえてくる。


「雨宿りですか?」


低すぎず高すぎず、どこか中世的な凛とした声だった。

ゆっくりと振り返れば、淡いブルー髪色が印象的な、モデル並みに背の高い男性が私を見ていた。

男性は清潔感のある真っ白なシャツに黒いデニムを履いていて、とても端正な顔立ちをしているが、どことなくミステリアスな雰囲気を纏っている。