「私も」
「あなたも? 俺を?」
「はい」
(あ「俺」って言った)
私は、
先輩のほつれた前髪を右手でそっと上げる。
「先輩。
私が帰らないとここ鍵閉められないんでしょう?」
「えぇ」
「先輩こそ、パソコンのデータ大丈夫でしたか?」
「おかげさまで」
(うーん。
明朝体にしたくなる良い声だ)

「先輩、
純愛って何色ですか?」

先輩の力強い腕にぎゅうっとされて、負けじとぎゅうっと抱きしめ返す。あ、寝そう。先輩あったかい。
「綿あめみたいな色ですね。ほんのりピンクの」
「カラーコードは」
「#f5ecf4のパウダーピンク」
「もう少し濃いめで」(キスも)
ミルクセーキよりも濃いめに甘く。甘やかしモードで甘々で。

「寝ないでください」