先輩が、クスクス笑いながらそう言う。
「ふわふわしたお化けみたいな白いキャラクターもあしらっちゃおうかな」
「先輩がデザインするんですか? それ」
「もちろん。
まず、あなたをお腹いっぱいにさせてから」

先輩がふんわりとそう言った。
「まず、そのミルクセーキを飲んでください。お水もね。タクシーを呼びます」
「先輩も年末の査定、頭が痛いんじゃ」
「必要なコストですよ。今は。
何しろ残業を頑張っている後輩が、おなかをすかせて倒れてしまった。
私の責任です」
「そんな、」

先輩が深々と頭を下げた。や、ちょっと、やめてください!!
(私が勝手に倒れただけなのに)

「家まで送りますよ。食事も届けます。今夜はゆっくり休んで」
そう優しく言ってふわふわ笑う先輩はいつもの先輩だ。ほっとすると同時になんだか物足りない気分にもなる。おなかがすいているからかな。
そっと、
先輩の唇に、自分の唇を近づけてみた。
(あまい)

ミルクあまい。お砂糖あまい。生クリームも卵もあまい。全部あまい。こっくり甘い。(キスも)

「甘やかしたくなってしまう」