水の入った小さな紙コップをそっと両手に握らされる。あたたかく大きな左手を添えられて。
「夢を見ていました」
「どんな夢を?」
「あなたが、」
(私にキス!?)

「ちょ、ちょっと!! ここで寝ないでください!!」
(恥ずかしすぎて永遠の眠りにつきたい!!)
先輩がそっと私の右肩に触れる。本当は揺すぶりたいが必死で自分を抑えているのだろう。
「貧血ですか? 吐きそうですか? 大丈夫ですよ、吐いて」
「おなかがすきました……」

先輩が目を丸くし、それからプッとふきだした。

「今のあなたの言葉、うっすら虹色の雲のフォントにしたくなります」