裁判所で大幅に減刑された懲役を聞かされた時私は内心ほっとしてしまっていたのだ、良かったと。でも全然良くない。

被害にあった男の子やそのご両親に一生消えない傷を負わせた彼を許してはいけない。

握っていた手を離すと男の子の父親は彼の手を後ろ手に縛った。

「何か言い残すことはないか?」

憎しみと悲しみが混在した目で私を見つめる父親。私はおもむろにしゃがんで彼と目線を合わせた。もちろん彼の目は開くことはない。

「好きだよ」

それが彼へ向けた最後の声だった。