金属製の椅子にもたれかかる意識のない彼。手をそっと握ると思いのほか温かった。 彼は償いきれない罪を犯した。それは放火と殺人。自分の両親と妹が住むアパートに火をつけたのだ。しかもアパートには他の住人がいて逃げ遅れてしまった当時7歳の男の子も巻き込まれてしまった。命に別状はなかったものの火事の際に負った怪我のせいで下半身不随になってしまった。 後に開かれた裁判で彼はこう話した。