【完】 瞬く星に願いをかけて

 
 七夕の夜が明けて、憂鬱な日曜日が訪れる。部屋の窓からは眩しい日光が差し込む。


 昨日あんなことがあって、一睡も出来なかった。


 ひとり暮らしの私にとっては、学校もバイトも無く、友達とも遊べない日曜日が嫌いだ。


 先輩とも会えないし……早く土曜日が来ないかな。


 ベッド横に置かれたスマホを手に取る。


「7時……」


 私はベッドから脱出し、いつものようにテレビを点けた。


 野球の試合結果とか話題のファッションとかのニュースが流れる。まぁ、あんまり興味は無いけど。


 そんなことを耳に入れ、食パンをトースターに入れて朝ごはんの準備をしながら、身支度を進めていく。


 今日はどうしようかな……部屋の掃除? 本の整理?


 せっかくの休日なのに、特にやることが無いなんて。


『本日のキラッとラッキー星座占い!』


 女性アナウンサーの声でコーナーが切り替わったと気付き、手を止めてテレビに注目する。


『今日の1位は……さそり座のあなた! もしかしたら、運命の想い人と会えるかも?』


 え~違うじゃん。で、この番組、毎回パターンが似ているから……


 その後も、2位、3位と順番に発表されていく。


 しかし、かに座が最後まで現れることはなく、最下位が決まってしまった。


 はぁ……『思わぬ遭遇から悲劇が起こる予感⁉』なんて言っていたけど……ちょっとしたネガティブが私の心を侵食する。


 で、でも、良いことあるかもだし!


 昨日だって、バイト終わりに思わぬ形で先輩と会えたし……まぁ、私のミスなんだけど。


 朝の占いが終わり、すぐに別のコーナーへと切り替わる。


『本日のモーニング特集! 渋谷カフェのスイーツトーストです』


 食パンに生クリームやフルーツが盛り付けられたオシャレな映像が流れる。


 美味しそう……あっ!


 私はふとトースターのタイマーを入れっぱなしにしていたことを思いだす。


 すぐに取り出して食パンの安否を確認する。


「やっちゃった……」


 案の定、ほんの少し前まで美味しそうだった食パンは、漆黒に包まれていた。


 これじゃあ、炭みたい。せっかく、ちょっと高いヤツを買ったのに。もったいない。


 でも……もしかしたらと思い、一口食べてみる。


 苦い。


 うぅ~私の貴重な朝ごはん……ツイてない。


 その後、自分の部屋で読書を楽しみ、退屈な時間を過ごしていた。


 ベッドに突っ伏しながら、時間も忘れて物語の世界に入り込む。


 やっぱり輝夜様の書いた小説は何度読んでも面白い。


 ドキドキするし、傷ついた私の心癒してくれる。


 それにしても、お腹空いた。


 朝からカフェオレしか飲んでいない。


 朝の占いは最下位だし、トーストは炭に変わるわ……あぁ、ツイてない。


 リビングの壁にかかった時計は、十二を示していた。


 お昼ごはんの時間だ……でも、冷蔵庫は空っぽ。


 そろそろ買い物行こうかな。