夜。陽翔の部屋の机に、パソコンの光だけがぼんやりと灯っていた。
モニターには、陽翔の書いた脚本の最終稿と、構想中の映像の絵コンテ、音楽メモ。
すべてのデータが、USBに丁寧に保存されていく。
カチッ。
最後のファイルを保存し終えた陽翔は、USBを握りしめた。
「……もしものことがあっても、これさえあれば……」
陽翔は自分に言い聞かせるように呟いた。
けれど、その目は少しだけ、揺れていた。
*
翌日。放課後の校庭裏。
陽翔は凛空を呼び出した。
「これ……渡しておきたいものがあるんだ。」
そう言って、ポケットから銀色のUSBを差し出す。
「脚本と映像の原案、全部入ってる。」
凛空は一瞬驚いた表情を見せた。
「なんで……俺に?」
陽翔は笑った。でもその笑顔には、少しだけ影が落ちていた。
「凛空なら、最後までやり遂げてくれるって思ってるから。……もし、俺が途中で倒れて、参加できなくなったら……頼む。」
「――そんなこと言うなよ。」
凛空の声がかすかに震える。
「でも、俺は今、できるだけのことをしておきたいんだ。無責任かもしれないけど、夢だけは、ちゃんと最後まで生きてほしい。」
陽翔は、力を込めて続けた。
「だから、お願い。俺が途中で消えても、この映画だけは残して。」
凛空は拳を握りしめながら、そっとUSBを受け取った。
「……わかった。絶対、完成させる。お前の想いごと、絶対に。」
そのやりとりを、遠くから見つめていた結月。
二人の表情を見て、胸がきゅっと痛くなる。
(……陽翔、何を抱えてるの? 私にも言ってよ……)
けれど陽翔は、まだその“本当”を結月には話そうとしなかった。
自分が消えたあとに結月が泣く未来だけは――
絶対に避けたかったから。
*
陽翔は空を見上げ、小さく息を吐いた。
(未来は誰にもわからない。だから、信じられる人に託すしかないんだ。)
風がふわりと吹いて、陽翔の髪を揺らした。
その表情は静かで、どこまでも優しかった。
モニターには、陽翔の書いた脚本の最終稿と、構想中の映像の絵コンテ、音楽メモ。
すべてのデータが、USBに丁寧に保存されていく。
カチッ。
最後のファイルを保存し終えた陽翔は、USBを握りしめた。
「……もしものことがあっても、これさえあれば……」
陽翔は自分に言い聞かせるように呟いた。
けれど、その目は少しだけ、揺れていた。
*
翌日。放課後の校庭裏。
陽翔は凛空を呼び出した。
「これ……渡しておきたいものがあるんだ。」
そう言って、ポケットから銀色のUSBを差し出す。
「脚本と映像の原案、全部入ってる。」
凛空は一瞬驚いた表情を見せた。
「なんで……俺に?」
陽翔は笑った。でもその笑顔には、少しだけ影が落ちていた。
「凛空なら、最後までやり遂げてくれるって思ってるから。……もし、俺が途中で倒れて、参加できなくなったら……頼む。」
「――そんなこと言うなよ。」
凛空の声がかすかに震える。
「でも、俺は今、できるだけのことをしておきたいんだ。無責任かもしれないけど、夢だけは、ちゃんと最後まで生きてほしい。」
陽翔は、力を込めて続けた。
「だから、お願い。俺が途中で消えても、この映画だけは残して。」
凛空は拳を握りしめながら、そっとUSBを受け取った。
「……わかった。絶対、完成させる。お前の想いごと、絶対に。」
そのやりとりを、遠くから見つめていた結月。
二人の表情を見て、胸がきゅっと痛くなる。
(……陽翔、何を抱えてるの? 私にも言ってよ……)
けれど陽翔は、まだその“本当”を結月には話そうとしなかった。
自分が消えたあとに結月が泣く未来だけは――
絶対に避けたかったから。
*
陽翔は空を見上げ、小さく息を吐いた。
(未来は誰にもわからない。だから、信じられる人に託すしかないんだ。)
風がふわりと吹いて、陽翔の髪を揺らした。
その表情は静かで、どこまでも優しかった。



