夏休み明け目前の朝。
陽翔は病院のベッドから、静かに立ち上がった。
胸の奥には、まだ痛みが残る。でも、顔には笑みを浮かべていた。
「……帰ろう。俺の“場所”に。」
母の支えで病院の玄関を出ると、蝉の鳴き声がまるで祝福のように響いていた。
*
家に帰ると、玄関には父が立っていた。
「……よく頑張ったな、陽翔。」
陽翔は小さく笑って頷く。
「うん。ありがとう。……まだ、やりたいことがあるから。」
その夜。机に向かった陽翔は、ぐしゃぐしゃになったままの脚本の束を見つめていた。
「……時間は、待ってくれない。だから俺は、止まっていられない。」
そう呟いて、陽翔は一気にペンを走らせた。
ふと、胸の奥に鈍い痛みが走る。だけど――
「大丈夫。こんなの、いつも通りだ。」
痛みに顔をしかめながらも、誰にも頼らず、誰にも言わず、陽翔はひとりで戦っていた。
*
翌日、学校に戻った陽翔に、結月と凛空が笑顔で駆け寄ってきた。
「陽翔!!」
「よかった、無事だったんだね……!」
「うん。ちょっと疲れてただけだよ。……心配かけてごめん。」
陽翔は笑顔を作った。
でも――
その笑顔に、結月は小さな違和感を覚えた。
(無理してる……? なんか、前より細くなった気がする……)
「ねえ、ほんとに大丈夫なの? 顔色……よくないよ?」
「大丈夫だよ。結月、俺のことなら平気。……それよりさ、映画の脚本、あとちょっとで完成なんだ。」
その目はどこまでもまっすぐで、どこか遠くを見ているようだった。
「……そっか。じゃあ、私も手伝う。」
結月はそれ以上何も言わなかった。ただ、隣に座り、そっとノートを覗き込んだ。
*
夜。陽翔は一人で脚本を打ち直しながら、深く息を吐いた。
「あと少し……絶対に、完成させる。」
強がりも、孤独も、全部抱えたまま――
でもその胸には確かに、“夢を生きようとする”火が灯っていた。
陽翔は病院のベッドから、静かに立ち上がった。
胸の奥には、まだ痛みが残る。でも、顔には笑みを浮かべていた。
「……帰ろう。俺の“場所”に。」
母の支えで病院の玄関を出ると、蝉の鳴き声がまるで祝福のように響いていた。
*
家に帰ると、玄関には父が立っていた。
「……よく頑張ったな、陽翔。」
陽翔は小さく笑って頷く。
「うん。ありがとう。……まだ、やりたいことがあるから。」
その夜。机に向かった陽翔は、ぐしゃぐしゃになったままの脚本の束を見つめていた。
「……時間は、待ってくれない。だから俺は、止まっていられない。」
そう呟いて、陽翔は一気にペンを走らせた。
ふと、胸の奥に鈍い痛みが走る。だけど――
「大丈夫。こんなの、いつも通りだ。」
痛みに顔をしかめながらも、誰にも頼らず、誰にも言わず、陽翔はひとりで戦っていた。
*
翌日、学校に戻った陽翔に、結月と凛空が笑顔で駆け寄ってきた。
「陽翔!!」
「よかった、無事だったんだね……!」
「うん。ちょっと疲れてただけだよ。……心配かけてごめん。」
陽翔は笑顔を作った。
でも――
その笑顔に、結月は小さな違和感を覚えた。
(無理してる……? なんか、前より細くなった気がする……)
「ねえ、ほんとに大丈夫なの? 顔色……よくないよ?」
「大丈夫だよ。結月、俺のことなら平気。……それよりさ、映画の脚本、あとちょっとで完成なんだ。」
その目はどこまでもまっすぐで、どこか遠くを見ているようだった。
「……そっか。じゃあ、私も手伝う。」
結月はそれ以上何も言わなかった。ただ、隣に座り、そっとノートを覗き込んだ。
*
夜。陽翔は一人で脚本を打ち直しながら、深く息を吐いた。
「あと少し……絶対に、完成させる。」
強がりも、孤独も、全部抱えたまま――
でもその胸には確かに、“夢を生きようとする”火が灯っていた。



