逃げたいニセモノ令嬢と逃したくない義弟と婚約者。






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数時間前の出来事を思い出して、思わずまた苦笑いを浮かべる。

セオドアもレイラ様も自由すぎるところが本当によく似ており、血を感じる。
生まれながらにして貴族だからそうなのか、2人だからそうなのかわからないが、よく言えば自由、悪く言えば自分勝手な2人だ。



「人混みは慣れてないでしょう?無理はしないでね」

「ありがとう、セオ」



そんな自分勝手な自由2人組の1人であるセオドアは傍にいる姉を心配そうに見つめ、そのもう1人である、レイラ様はそんなセオドアに優しく微笑んでいる。

本当にあの2人の席はどうするのだろうか?
急遽用意することなど本当にできるのだろうか?
全ての席が埋まっていたら難しいのでは?



「席のことなら心配しないで。2人用の特別席から4人用の特別席に変更するようにもう言ってあるから」



ただ1人だけ座席の有無について心配していると、私の考えなんてお見通しのウィリアム様が「大丈夫だよ」と私を安心させるように微笑んできた。

私の考えを当てたこと、その上で席は用意できていることを口にしたウィリアム様に、私はさすがウィリアム様だ、と感心すると同時に、その洞察力に相変わらず少し怖いと思ってしまう。
どんなに取り繕っても、この人相手では自分の考えなんて全部筒抜けなのだろう。