こうしてぐるぐるぐるぐると同じことを何度も考え、私は答えを出せずにいた。
そして結局、私自身の今後がまだどうなるかわからないので、それでは答えの出しようがない、という結論にいつも至っていた。
「何を考えているの?」
いつものように考え込んでいた私に隣にいたウィリアム様が興味深そうに声をかけてくる。
アンタのこととか、今後のこととかいろいろだ!と思った私だったが、もちろんそんなことは言わずに、ウィリアム様に「今日の演劇のことを考えていました」とふわりと笑った。
ここは王都で最も大きく、由緒正しい演劇場。
今日は学院がお休みなので、ウィリアム様と共にここへ演劇を観にやってきていた。
ここの演劇場は主に貴族御用達で、お金のある平民もお金さえ払えば足を踏み入れることのできる場所だ。
今日観る演劇は貴族にも平民にも人気の今流行りのラブストーリーで、開演を待つ劇場内の広い廊下は、たくさんの貴族で溢れていた。
「ねぇ、ウィリアム様とレイラ様だわ」
「休日も一緒だなんて本当に仲がいいわね」
「未来の公爵夫妻ね」
「王子様なウィリアム様と女神様なレイラ様、お似合いよねぇ」
演劇前の暇を持て余した貴族たちの注目の的は、もちろんこの国一有名な2人、ウィリアム様とレイラ様だ。
貴族たちは遠巻きに私たちを見ながらも好き勝手にいろいろことを言っては、楽しそうに笑い合っていた。
噂の的にされることなど慣れているので、全く不快に感じない。今日もまた盛り上がっているなぁ、くらいにしか思えない。



