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何をやらせても完璧で王子様のようなウィリアム様と、こちらも何をやらせても完璧で女神様のようなレイラ様。
あまりにも完璧で美しい2人は常に学院…いや、国中で注目されており、完璧な未来の公爵夫妻として、知れ渡っていた。
そして誰もが知る完璧な未来の公爵夫妻の仲は大変良く、一切の隙がなかった。
…もちろんウィリアム様と私が意図的にそう見えるようにしているだけだが。
対外的に大変仲の良い私たちはいつもある程度身分の高い、選ばれた者だけが使えるカフェテリアで共に昼食を食べるようにしている。
そこにはもちろんセオドアもいるのだが、今日は用事があるようでどうしても一緒に昼食は食べられないようだった。
『用事が済んだら絶対に行くから。絶対に』と、どこか悔しそうにしていたセオドアの姿を思い出し、首を傾げる。
セオドアは一体何が悔しくてあんな顔をしていたのだろう?
ここにはいないセオドアに少しだけ思いを馳せながらも、目の前にある美味しそうなスープに私は口を付けた。
口に含んだ瞬間、野菜とお肉の深い味わいが口いっぱいに広がる。
上品な味わいの中に、ブラックペッパーも効いており、かなり好きな味だ。
「…ん。美味しい」
なかなか好きな味に思わず、頬が緩む。
するとそれをウィリアム様は見逃さず、優しく私に微笑んだ。



