「セオドア、俺の言い方が悪かったね?クッキー専門店には君の姉さんだけを誘ったんだよ?」
「はい。わかっております。僕はその姉さんについて行くだけです」
「ついてこなくていいんだよ?」
「いえ、姉さんの行くところには弟である僕も行くべきなので」
おかしそうにしているウィリアム様とこちらもおかしそうにしているセオドアを変なものでも見るような目で私は見る。
主にこの変なものを見る視線はセオドアへ向けてのものだ。
貴族の姉弟は常に一緒にいるものらしいが、ここまで一緒にいるべきものなのか。
そんな変な会話をしているうちにシャロン公爵家の馬車が静かに止まった。
どうやらもうアルトワ伯爵邸に着いたようだ。
使用人によって馬車の扉が開かれ、まずはセオドアが馬車から降りる。それからいつものように私に手を差し伸べてきたので、私はその手を取って、馬車からゆっくりと降りた。
そして何故かその後にウィリアム様も馬車から降りてきた。
「ウィ、ウィリアム様?」
何故か馬車から降りてきたウィリアム様に思わず首を傾げてしまう。
これではウィリアム様も伯爵家に帰ってきたようになってしまうのだが。
「どうせここまで来たのならお義父様とお義母様に挨拶しようと思ってね。それにまだレイラと離れたくなくて」
「…はぁ」
私の視線を受けて、甘く微笑むウィリアム様に適当な返事をしてしまう。
何を企んでいるんだろうかとつい思ってしまうのは普段の素行の悪さからだ。



